Small Mountain

2020年6月1日3 分

“セカンド・デスティネーションストア”として

デスティネーションストア」という言葉をご存知でしょうか。Destination は英語で”目的地”を指す言葉で、デスティネーションストアとは、”目的地になる店”ということになります。

真偽はわかりませんが、最初にその言葉を使い始めたのはアウトドアファッションブランドのPatagonia(パタゴニア)だと聞いています。普段は人の行き来の少ない場所にあえて出店して「ついでじゃなくて、そのお店に来ることを目的にしてもらう」という想いから生まれたそうです。

店主はわりと店巡りが好きで、百貨店やショッピングモールに行くよりも、ちょっと離れた場所にあったり、見つけにくい場所にある、その土地ならではのお店を探すのが好きです。

旅先でもうろうろ歩いたり、気になる土地のGoogleマップをくまなく見てそういうお店を探していると、たまに個性的なお店に出会えます。偏りがあったり、雰囲気が独特だったり、店主に癖があったり。何かのマニアックな専門店はたいてい面白いことが多いです。そういう経験をもとに、本業の編集者としても雑誌でそういう特集を作ったことがあります。

いろんなお店に取材をしながら「自分もいつかそんな店をやってみたいな」と思っていたら、いろんな偶然が重なり、地元にそういう店を作ってしまいましたが(笑)

百貨店やモールなど、誰でも見つけられる場所にあるお店は、自分にとってはたいていあまり面白くありません。人が多い場所=地価も高いので、面白さよりも売り上げ効率を追求するのは当たり前ですから、面白さを求められても困るでしょうけど。

一方の「デスティネーションストア」は、繁華街から離れた場所や、雑居ビルの中にあるからこそ家賃も低めなので、思い切ったことができる。某メガファッションブランドが最近「お店をデスティネーションストアにしたい」と語っている記事を目にしましたが、それはちょっと本来の意味と違うのかなと感じました。「合ってるけど、間違ってますよ」という感覚。

当店は栃木県小山市のターミナル駅である小山駅西口から徒歩数分のところにある小さな路面店なので、「デスティネーションストア」の定義にはハマらないですが、この体裁で東京で店をやろうとしたら厳しいし、地方都市だからこそ成立するという広い意味では「デスティネーションストア」だと思っています。

最近はインスタなどのおかげで少し遠方からお越しいただく方も増えています。もちろん当店を目掛けてってことは少ないでしょうが「気になっていて、一回来てみたかったんです」と言ってもらえることも増えていて、それが嬉しいです。

ついでに行ってみたい店」は言ってみれば「セカンド・デスティネーションストア」ということになるんでしょう。当店としてはそれで十分です。「栃木に旅行に行く」「小山に用事がある」、「(3軒隣にある)カフェフジヌマにコーヒーを飲みに行く」、そんな時に「そういえばスモールマウンテンっていう店があったな」と思い出して寄っていただければ嬉しいです。

とはいえ安定の不定休営業なので、メールでお問い合わせいただくか、それも面倒な方は「開いてたらラッキー」くらいの気持ちでお越しいただければ幸いです。

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